2010年11月30日火曜日

京都議定書の「第2約束期間」とは?

日本政府が延長に反対している「京都議定書」ですが、2012年に終了する「第1約束期間」について「その後の期間」を設けると定めています。その内容として、「第1約束期間で削減目標が達成されない場合には第2約束期間に3割増で目標を持ち越す」という手続きも決められています。

京都議定書は延長も想定して決められたものでした。当時の議長国日本にはこれを守り、推進していく責任があると思います。

地球全体の、人類全体で取り組まなければならない温暖化対策。大量の温室効果ガスを排出してきた先進国のひとつである日本は、その責任を自覚して行動しなければならないはずです。やるべきことは国内の温室効果ガスの50%以上を排出する大企業の「京都議定書延長反対」の声を代弁することではなく、大幅な排出削減を実現し、世界をリードすることでしょう。

環サミがCOP16に派遣する代表団からは、日本政府の現地での発言などもリポートしたいと思っています!

2010年11月29日月曜日

COP16開幕!焦点と市民の役割

メキシコ・カンクンで29日よりCOP16が開催されます。
焦点は、2013年からの対策の枠組みづくり。京都議定書が先進国に温室効果ガス削減を義務づけた「第一約束期間」が2012年までなのですが、その先の枠組がまだ決まっていません。
COP16に向けた準備会合でも、残念ながら進展はありませんでした。今年は4回の会合がありましたが、新たな議定書はまだ草案もありません。温暖化対策が各国の経済活動に及ぼす影響の大きさ故に、交渉が難航しています。

2011年のCOP17での議定書合意をめざす、その基礎作りがCOP16の課題と言われます。一方議定書は、採択後に各国での手続きがあるため発効まで時間がかかります。京都議定書では7年以上かかりました。11年に合意ができても発効までの空白が生まれれば、温暖化の進行に拍車をかけかねません。なにより、新たな枠組作りはさらに難しくなります。

EUなどは、京都議定書に基づき議定書の延長を提起。第2約束期間の目標を設定することは現実的な提案といえます。
しかし菅首相は「わが国の選択としてあり得ない」などと反対を表明。日本の温室効果ガス排出の大手である石油・電力・鉄鋼・自動車などの産業界9団体はこれを評価した上、「万が一にも延長を受け入れることがないよう強く要望」する提言を連盟を発表しました。
日本政府のこの姿勢は、温暖化対策に反対する業界に同調して、国際合意に向けた交渉をストップさせるものです。私たち市民の働きかけを強める必要があります。
「環サミ」はCOP16に3名の代表団を派遣しますが、国内での
取り組みも重要性を増しています。

国会では「温暖化対策基本法」が成立するのか、その中身がどうなるのかも問われています。

2010年11月23日火曜日

夏の猛暑と気候変動

 今年の夏は、気象庁の記録が残っている過去113年間で最も暑い夏でした。
 東大大気海洋研究所がスーパーコンピュータで再現実験したところ、過去30年間の長期的な海水温上昇が、高温原因の2割強を占めるという結果がでたそうです。11月19日に発表されました。
 気象庁はこの夏の猛暑について、エルニーニョに続きラニーニャが起きたこと、太平洋高気圧の勢力が強かったなど多くの要因が重なったと9月に発表しています。

 実験を行った中心メンバーの一人で、気象庁の異常気象分析検討会長でもある木本昌秀教授は「長期的な温暖化の『底上げ』分がなかったら、猛暑はここまでひどくなかった」と説明しました。長期的な海面水温上昇の原因の半分以上は温室効果ガスなど人間活動が起源だとみており、排出量削減などの努力が必要としています。

2010年11月16日火曜日

日本政府の進める「排出量取引」

 日本の企業の温暖化ガス削減「自主目標」達成のために、日本政府は2国間での排出量取引制度作りを進めようとしています。
 「COP15で国際合意で認められている」として進めていますが、そんな事実はありません。その実態は?
 残念ながら、日本が新しいしくみをはじめようとするときには、抜け穴作りのことが多いです。WWFは6つの懸念を表明しています。詳しくはWWFのサイト内
「二国間クレジット制度」についてWWFが持つ懸念のページをぜひ読んでください。

 日本企業の排出量自体が増えても、それを海外での事業拡大で相殺してしまえるような運用が懸念されています。さらに、企業進出先の国でもそれが削減量としてダブルカウントされたりする懸念もあります。
 大企業はもうけるばかりとなり、しかも削減につながらない危険性さえもはらんでいます。

 もちろん排出量取引自体は、本気で削減のために運用すれば有効でもあります。しかし実際になにが狙われているのか、注視していく必要があります。

 さて大企業といえば、トヨタがCOP10の土地愛知で、広大な里山をつぶしてテストコースを作ろうとしていることも問題となっています。これで何がSATOYAMAイニシアティブか、といわれかねない事態のひとつです。

2010年11月11日木曜日

COP10の成果と COP16

 大変遅くなりましたがCOP10の成果についてお知らせします。
 COP10は名古屋議定書と愛知目標を採択して終了しました。
 名古屋議定書は、遺伝資源の利用には原産国の同意が必要としています。過去に利用され製薬会社などに多大な利益をもたらしている遺伝資源や、遺伝資源を元に化学合成してできる「派生物」をどう扱うかなどは明記されていません。今後の協議にゆだねられています。
 愛知目標は生態系保全のための2020年までの目標です。「20年までに生物多様性の損失を止める」という目標は途上国が経済開発への規制を嫌うなどして合意できず、「損失を止めるために効果的な緊急の行動をとる」というものになりました。また、具体的な個別目標も決まっています。
 2012年まで議長をつとめる日本の行動も注視する必要があります。今後の動向もお知らせできればと思っています。

 一方メキシコで開催される気候変動枠組み条約のCOP16。10月に中国の天津で特別作業部会が開かれました。COP16で拘束力を持つ合意は作れないのではないかという見方も強くあるそうです。11月8日に開催された天津会議の報告会では、(地球環境と大気汚染を考える全国市民会議)の早川光俊専務理事は「日本の25%削減の具体的な政策が決まること、温暖化対策基本法案を成立させることが交渉を大きく前に進める」と強調していました。
 国際交渉を妨害するような態度をたびたび示し、COPの場などで何度も「化石賞」を贈られた日本。今回も、「抜け穴」作りを狙っているようです。それについてはまた次回に!